17年間土俵に立ち続けた男が“整う”世界に魅せられた理由とは。
「正直、サウナは嫌いだった」ー埼玉・川越で誕生した『サウナ横綱』は、ちゃんこ鍋付きという斬新すぎるコンセプトで、テレビやSNSでも話題沸騰。元力士という異色のキャリアを武器に、唯一無二の“整い空間”を作り上げた。今回は、サウナ横綱の創業者である竹内さんに、開業の舞台裏からサウナ/飲食業のリアルまで、語っていただいた。

株式会社Sauna綱
竹内 太一さん
埼玉県川越市を拠点に活動する実業家。元大相撲力士として追手風部屋に所属し、四股名「大翔龍」で幕下九枚目まで昇進、2021年5月場所をもって現役を引退。その後、温浴・サウナ領域での経験を重ね、2023年9月に株式会社Sauna綱を設立。2024年11月には、相撲の世界観をテーマにした飲食併設サウナ施設『サウナ横綱』を川越にオープンし、代表として運営に携わっている。“相撲×サウナ”という独自の切り口で、新しい体験価値を生み出す取り組みを続けている。
目次
- — 「サウナとの出会いについて」
- — 「力士引退後、修行漬けの3年間」
- — 「開業に潜むリアル」
- — 「奇妙なコンセプトに至った経緯」
- — 「辛くても”夢”を諦めない理由」
- — 「今後のサウナ横綱の展望について」
- — 「最も印象的だったエピソード」
- — 「サウナ横綱から始まる新たな展望」
- — 「竹内さんにとってサウナとは?」
サウナって、暑いだけやん…と思ってたんです(笑)
—— サウナとの出会いについて
渡辺:まずお聞きしたいのですが、竹内さん、元力士なのにサウナ嫌いだったって本当ですか?
竹内さん:本当です。現役のときはむしろ「何がええんやろ」って思ってました(笑)。暑いし、息苦しいし…。でもある日、親方に連れて行かれて、仕方なく入ったのがきっかけなんです。
渡辺:嫌々だったけど...行ってみてどうでしたか?
竹内さん:「なんか今日、寝つきええな…?」みたいな感じから始まって。翌朝の稽古の集中力が上がってたりして、「これ、案外いいかも」って。それからは自分で通うようになって。気づいたら心も整うようになって、調子も良くなって、番付も上がって…。
渡辺:それはすごい! 力士人生にとっても、ターニングポイントになったんですね。
竹内さん:はい。ある意味、人生を変えてくれた存在だったかもしれないです。
やるなら本気でやる
—— 力士引退後、修行漬けの3年間
渡辺:引退してからすぐにサウナ経営を始めたわけではないんですよね?
竹内さん:そうです。引退してすぐ開業する選択肢もあったんですけど、「ちゃんと現場を知らなあかん」と思って。3年間、いろんな施設で“修行”してました。
渡辺:修行というと?
竹内さん:最初は恵比寿の飲食×個室サウナ、その後は新宿の大型施設、最後は埼玉の老舗健康センターって感じで、1年ずつ現場を変えて。接客、ロウリュ、オペレーション、マシン管理…全部自分の手でやりました。
渡辺:それって、相当ハードじゃないですか?
竹内さん:はい、めっちゃ大変でした(笑)。150人以上のお客さんの前で熱波やったときは、現役の取り組みより緊張したかもしれないですね。
融資よりも、開業までのスケジュールが地獄
—— 開業に潜むリアル
渡辺:資金面や準備はどうだったんですか?
竹内さん:資金は、現役時代の貯金と、銀行3行(日本政策金融公庫、東日本銀行、りそな銀行)からの融資でなんとかしました。実は、資金よりスケジュールの方が地獄でした…。
渡辺:というと?
竹内さん:クラファン、内装工事、プレスリリース、テレビの取材、記念グッズ、地元の説明会…全部が同時並行で、しかもオープン日が全国生中継に合わせて決まってたから絶対に遅らせられない。
渡辺:うわ、それは修羅場ですね。
竹内さん:もうね、開業直前の1週間は記憶ないです、ゲロ吐きそうになってました(笑)。でも妻と仲間が本当に支えてくれたので、どうにか間に合わせられました。
元力士だからこその、“サウナ×ちゃんこ鍋”
—— 奇抜なコンセプトに至った経緯
渡辺:“サウナ×ちゃんこ鍋”という組み合わせ、なかなか聞いたことがないのですが、どうしてこの発想に?
竹内さん:やっぱり、自分が元力士っていう背景があったからですね。サウナの施設を作るなら、そこに何か自分らしさを出したいなと思って。それで「ちゃんこ鍋」が自然と浮かんできました。
渡辺:私もちゃんこ鍋って食べたことがないのでぜひ行ってみたいです...!
竹内さん:はい。意外と、ちゃんこ鍋をちゃんと食べたことがある人って少ないんです。だから「こんなに美味しいんだ」って驚いてもらえるのが楽しいですし、「ただの鍋とは違うな」と感じてもらえたら嬉しいです。
飲食は、正直しんどい
—— 辛くても、’’夢”を諦めない理由
渡辺:ぶっちゃけ、経営は順調ですか?
竹内さん:うーん、サウナ単体ならかなり回るんですけど、やっぱり飲食がしんどいです。人件費もかかるし、利益率も低いし、口コミひとつで印象変わっちゃう。
渡辺:飲食とサウナの両立が想像以上に難しかったんですね。
竹内さん:そうですね…正直、想像以上に大変でした。飲食は利益率も低く、スタッフの対応やオペレーション次第でお客様の満足度が大きく変わるんです。少しのミスや接客の差が、施設全体の評価に響いてしまうこともありますから。
渡辺:繊細な運営が求められる分、難しさもあるんですね。
竹内さん:はい。でもその分、ちゃんこを食べたお客様が「こんなに美味しいんだ!」って喜んでくれるのは、本当に励みになります。
飲食の壁と、次の一手
—— 今後のサウナ横綱の展望について
渡辺:ここまでのお話で、開業や運営の大変さも伝わってきましたが、今後の戦略展開についてはどんな構想をお持ちですか?
竹内さん:現状はサウナと飲食をセットにした店舗ですが、正直なところ、飲食ってやっぱり難しいんですよ。利益率は低いし、オペレーションも複雑で人材の確保も大変で…。
渡辺:確かに、飲食は感情的な評価も入りやすいですもんね。
竹内さん:そうなんです。なので今後は、“サウナ単体型の店舗展開”も視野に入れています。省人化できるモデルを組んで、もう少しミニマムな形で複数展開できるようにしたいなと。地方の遊休不動産や空き店舗と組み合わせるのも面白そうだなと思ってます。
渡辺:なるほど、ちゃんこ付きサウナがフルモデル、単体型はライト版というイメージですね。
竹内さん:まさにそうです。そのうえで、法人向けに福利厚生プランを提案したり、サウナ貸し・撮影利用など平日の稼働をどう最大化するかも大事なテーマです。整いだけじゃなく、“使われ方の幅”をどう増やすか、今そこを試行錯誤しています。
全てが報われた、お客さんの一言
—— 最も印象的だったエピソード
渡辺:オープンから1年が経ちましたが、印象的なお客さんとのエピソードってありますか?
竹内さん:「初めてのサウナ体験がここだった」って言ってもらえたときは、ほんまに嬉しかったです。全部報われた気持ちになりました。
渡辺:“最初のサウナ”として記憶に残るって、すごいことですよね。
竹内さん:はい。だからこそ、もっと広げていきたいと思ってます。将来的には、コンビニ感覚で入れるサウナ、さらに“世界が集まる場所”を作るのが夢です。
日本をまるごと体験できる“世界が集まる場所”をつくる
—— サウナ横綱から始まる、新たな挑戦
渡辺:“世界が集まる場所”!それってどういう場所なんでしょう?
竹内さん:相撲、ちゃんこ、サウナ――全部、日本らしさを感じられる空間を一つにした施設ですね。海外の人にも相撲を“体験”してもらえるように、土俵もちゃんと置きたいんです。
渡辺:土俵も!観るだけじゃなくて、実際に触れられるように?
竹内さん:はい。安全面に配慮しつつ、ミニ体験みたいな形で楽しんでもらえたらと思ってます。ちゃんこを食べて、整って、相撲という文化に触れられる。そんな唯一無二の場を作りたいです。
竹内さんにとってサウナとは?
—— サウナはどんな場所か
渡辺:竹内さんにとって、“サウナ”とは何でしょうか?
竹内さん:うーん…難しいな。でも、やっぱり「心のよりどころ」ですね。何があっても、サウナに入ればフラットになれる。あれこれ考えすぎず、また明日から頑張れる場所。そんな存在です。
渡辺:ありがとうございました!これからの挑戦も楽しみにしています。

株式会社Sauna綱
竹内 太一さん
埼玉県川越市を拠点に活動する実業家。元大相撲力士として追手風部屋に所属し、四股名「大翔龍」で幕下九枚目まで昇進、2021年5月場所をもって現役を引退。その後、温浴・サウナ領域での経験を重ね、2023年9月に株式会社Sauna綱を設立。2024年11月には、相撲の世界観をテーマにした飲食併設サウナ施設『サウナ横綱』を川越にオープンし、代表として運営に携わっている。“相撲×サウナ”という独自の切り口で、新しい体験価値を生み出す取り組みを続けている。