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「地方には人がいない」——これは、地方で事業を営むすべての経営者が直面する現実だ。求人を出しても応募がない。外注しようにも東京の制作会社は高い。最新の経営情報やマーケティング手法は、いつも都市部のセミナーで語られ、地方に届く頃には周回遅れになっている。 しかし 2025年から2026年にかけて、この構造の変化はすでに大きく進んだ。AI という「24 時間働く、場所を選ばないパートナー」が、地方と都市の間にあった格差を一気に埋め始めているのだ。 株式会社バーチャルアーツ代表取締役の片山能一氏は、経営者としてだけでなく自らエンジニアとしても AI を活用しながら地方企業の経営課題に向き合ってきた。「地方こそ AI の恩恵をより多く受けられる」と説明する片山氏に、その考えの根拠と具体的な実践方法を聞いた。


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代表取締役

片山 能一さん

株式会社バーチャルアーツ代表取締役。AIを中心とした経営改善・業務効率化・DX支援に尽力している。AIを単なる自動化や労働代替の手段としてではなく、人の創造性や意思決定の可能性を広げ、組織の意思決定と挑戦の質を高める存在として捉え、戦略設計からシステム実装、運用定着まで一貫して支援。

また、AIやテクノロジーの進化によりあらゆる情報が瞬時に複製され、流通する時代だからこそ、空間・人・時間・体験といった複製コストの高いフィジカルな価値も重要視している。IT・AI領域での事業展開と並行して、プライベートサウナバーの運営など、リアルな場づくりにも取り組んでいる。

AIか人か、デジタルかフィジカルかという二項対立に留めず、両者が自然につながる社会の実装を目指し、経営・テクノロジー・体験価値の視点から情報を発信している。

ゴール / ミッション

  • — 地方企業の「人がいない」を AI で構造的に解決する — 採用に依存しない生産性モデルを確立し、5 人のチームで 15 人分の価値を生み出す方法論を知る
  • — 情報格差をゼロにする — AI をリサーチ・分析・意思決定の基盤として活用し、地方にいても東京に近い質の経営判断ができる環境を作る
  • — 地方の固定費優位性 × AI 投資で、都市部企業を逆転する — 家賃・人件費が低い地方だからこそ、同じ AI 投資額でも ROI が圧倒的に高くなる構造を経営者に伝える

地方とAIの親和性

—— 人材不足・情報格差・外注コストの3課題をAIが同時に解決する構造

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

なぜ「地方こそ AI」だと考えているんですか?

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片山 能一

正直に言うと、最初からそう考えていたわけじゃないんです。ただ、地方で事業をやっていると「人がいない」「情報が遅い」「外注が高い」という 3 つの壁に毎日ぶつかるわけですよ。

実は僕自身、地方出身で、父親が地方で中小企業を経営していたんです。子どもの頃から父の仕事を間近で見て育ったんですが、まさにこの 3 つの壁そのものでした。求人を出しても応募が来ない、東京で流行っている手法が届くのはいつも半年後、地方の企業であるにもかかわらず、ちょっとした業務を外注するだけで都市部の相場で見積もられる。父がそれでも何とか会社を回していた姿を覚えています。だから AI を本格的に使い始めたとき、この 3 つが全部同時に解決し始めて——あの頃の父の苦労が頭をよぎって、「これは地方のための技術なんじゃないか」と考えるようになりました。

都市部の企業って、人が余っているとは言わないまでも、採用市場にアクセスできるし、勉強会もセミナーも歩いて行ける距離にある。外注先も選び放題。つまり、AI がなくても「まあなんとかなる」んです。

でも地方は違います。代替手段が限られているぶん、AI を導入したときの改善幅が大きくなりやすい。すでに整っている環境をさらに良くするより、これまで手が回らなかった業務を底上げするほうが、効果がはっきり表れるんです。

構造的に整理すると、こうなります。

地方企業の課題従来の対応策AI による解決
人材不足 — 求人を出しても応募が集まりにくい都市部から採用(高コスト)、業務を縮小既存メンバーの生産性を高め、少人数でも業務をこなせる体制に(例:5 人で 15 人分の成果も)
情報格差 — 最新トレンドが届きにくい都市部のセミナーに出張(時間・コスト大)AI がリアルタイムで情報を構造化し、都市部との差を縮める
外注コスト — 専門業務の外注が割高になりやすい割高な外注 or 我慢して自作AI × 内製で品質を保ちつつコストを抑える(例:1/3〜1/5 程度)

この 3 つが同時に解決するって、地方の経営者にとっては革命的なんですよ。1 つ解決するだけでも経営が楽になるのに、3 つ同時ですからね。

大事なのは、これが「将来こうなるかもしれない」という話じゃなくて、今すぐ使えるツールで、今日から始められるということです。

少人数の生産性拡張

—— 5人で15人分の成果を出す業務別AI生産性向上の具体例

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

人材不足を AI でどう乗り越えるのか、具体的に教えてください。

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片山 能一

これは地方の経営者が一番聞きたいところだと思います。「人を採れないなら、今いるメンバーの能力を AI で拡張する」——これが基本戦略です。

よく「AI が人の仕事を奪う」と言われますけど、地方企業の現実は真逆で、そもそも人がいないんだから、奪われる仕事がないんですよ。むしろ「誰もやる人がいなくて放置されている仕事」を AI にやってもらう。これが地方における AI 活用の本質です。

具体的に、業務ごとの生産性向上の目安をお見せします。

業務領域AI なしの作業時間AI 活用後生産性倍率使用ツール例
議事録・報告書作成2 時間15 分約 8 倍音声 AI → 要約 AI
WEB サイト更新・ブログ執筆4 時間1 時間約 4 倍文章生成 AI + CMS
見積書・提案書作成3 時間40 分約 4.5 倍テンプレート AI
顧客対応メール1 時間/日15 分/日約 4 倍メール AI アシスタント
市場調査・競合分析丸 1 日2 時間約 4 倍リサーチ AI
経理・請求書処理半日/月1 時間/月約 4 倍OCR + 会計 AI
SNS 運用(投稿作成)2 時間/週30 分/週約 4 倍コンテンツ生成 AI

業務によって幅はありますが、ならすと 1 人あたりの生産性はおおよそ 3〜5 倍が目安です。5 人のチームなら、15〜25 人分に相当するアウトプットも狙えます。

ただし、ここで大事なのは「AI に丸投げ」じゃないということです。AI はあくまでドラフトを作ったり、下調べをしたり、定型作業を自動化するもの。最終判断や品質チェック、お客さんとの信頼関係を築くのは人間の仕事です。

地方企業の強みって「顔が見える関係性」じゃないですか。AI に定型作業を任せることで、その強みに集中する時間が生まれる。これが本当の意味での「AI × 地方」の価値だと思っています。

情報格差の解消

—— AIリサーチ自動化・トレンド構造化・競合リアルタイム分析による情報格差ゼロ

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

情報格差の問題はどう解決できますか?

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片山 能一

これ、地方の経営者が意外と自覚していない課題なんですよ。「情報が足りない」とは思っていても、「どれだけ遅れているか」が見えない。見えないから危機感も薄い。でも実際には、東京の経営者が当たり前に持っている情報を、地方の経営者は半年〜1 年遅れで手に入れているケースがざらにある。

AI を使えば、この時差をほぼゼロにできます。具体的に 3 つの使い方があります。

1. リサーチの自動化

たとえば新規事業を検討するとき、市場規模、競合状況、顧客ニーズを調べますよね。従来なら調査会社に頼むか(数十万円)、自分で何日もかけて検索するか。AI なら「○○市場の規模、成長率、主要プレイヤー、参入障壁を整理して」と聞けば、10 分で構造化されたレポートが出てくる。

もちろん AI の出力をそのまま信じるのは危険です。でも「調べるべきポイント」と「全体像の仮説」を一瞬で手に入れられるのは、地方の経営者にとって革命的な変化です。

2. トレンドの構造化

「DX」「AI」——毎月のように新しいキーワードが出てきますよね。東京にいれば展示会やセミナーで肌感覚をつかめますけど、地方だとニュース記事や YouTube などで断片的に追うだけになりがち。

AI に「今月の中小企業向け DX トレンドを、①概要 ②自社への影響 ③具体的なアクション の 3 点で整理して」と定期的に聞く。これだけで、東京のセミナーに行くのと同等の情報密度を得られます。

3. 競合分析のリアルタイム化

地方企業の競合は、かなり前から同じ地域の会社だけじゃないんですよ。そしてその傾向が、ここ数年でいっそう強まっている。EC やオンラインサービスで、東京の会社が地方の顧客を取りに来ている。この動きを AI で常時モニタリングする。競合の WEB サイトの変化、新サービス、価格変更。人力では追いきれない情報を AI が整理してくれます。

ポイントは、AI を「質問に答えてくれる箱」じゃなくて、「経営の相談相手」として使うこと。これができれば、地方にいることは情報面でのハンデではなくなります。

ただ、一つ正直にお伝えしておきたいことがあります。情報が揃ったからといって、都市部とまったく同じことができるようになるわけではありません。最新の手法やサービスを自分が理解できても、地域のお客様や取引先がそれを使えなかったり、なじみがなかったりすれば、そのまま持ち込んでもうまく機能しないことがあるんです。だから、得た情報をそのまま当てはめるのではなく、地域の実情に合わせて翻訳し直す——この一手間が欠かせません。情報格差が縮まっても、最後にものを言うのは「地元をどれだけ理解しているか」だと思っています。

外注費の構造的削減

—— 外注費は「場所」ではなく「AI活用度」で決まる — WEB制作・マーケに見るコスト構造の変化

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

外注コストの問題はどうですか? WEB 制作やマーケティングを東京を中心とした会社に頼まなくてよくなる?

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片山 能一

ここは僕自身、エンジニア経験があるからこそ、はっきり言えることがあります。WEB 制作(ホームページ制作)、マーケティング、資料作成——これらにかかる都市部相場の外注費は、AI によって構造的にすでに崩れ始めています。

具体例を挙げますね。

WEB サイト制作の場合

従来: 東京の制作会社に依頼 → 150〜300 万円、納期 2〜3 ヶ月
AI 活用: 社内 or 地元パートナー + AI → 30〜80 万円、納期 2〜4 週間

なぜこんなに差が出るかというと、WEB 制作のコストの大部分は「人件費 × 時間」なんですよ。デザイン案の作成、コーディング、コンテンツ制作——AI がこれらの工程を 3〜5 倍速くする。だからコストが下がる。

さらに最近は、まとまった初期費用を一括で払うのではなく、月額制(サブスク型)で制作から更新・運用までまとめて任せられるプランも増えています。AI で制作の手間が下がったぶん、こうした低価格の月額プランが成り立つようになったんです。初期費用を抑えたい地方企業にとっては、特に始めやすい形だと思います。

マーケティングの場合

例えばですが、地方企業がマーケティングで東京の会社に払う月額費用は、10〜30 万円くらいになることも珍しくありません。そして、その業務の多く——体感で 7 割ほど——は、AI でかなりの部分を効率化できると感じています。

  • SNS の投稿文作成 → AI で下書き、人間が最終調整
  • メールマガジンの作成 → AI でドラフト、担当者が確認・送信
  • アクセス解析レポート → AI が自動で要約・改善提案
  • 広告コピーの A/B テスト案 → AI が複数パターン生成

残りの 3 割——戦略策定、クリエイティブの最終判断、地域特性を活かした施策——ここは人間がやるべきだし、むしろ地元の人間の方がわかっている。どうせ頼むなら好きな人、信頼できる人へ依頼したいですよね。

重要なのは「全部自分でやる」ではないこと

AI があるからといって、すべてを内製する必要はありません。むしろ「AI を使いこなせる地元のパートナー」と組むのが最強です。東京の大手に頼むより安く、地域の文脈を理解した上で、AI のスピード感で動ける。

地方の制作会社やフリーランスも AI を取り入れ始めているので、「AI を活用できるパートナーかどうか」を選定基準に入れるのが、いまの賢い選び方です。

ひとつ補足しておくと、必ずしも「都市部=高い」とは限りません。むしろ都市部の会社のほうが AI への対応が早く、それを前提にした割安なプランをいち早く打ち出していることもあるんです。大事なのは場所ではなく、依頼先が AI をどれだけ使いこなしているか。そこを見れば、都市部・地元・内製のどれが得かはおのずと見えてきます。

導入の4つの壁

—— ITリテラシー・無関心・無理な一斉導入・ルール不在の乗り越え方

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

とはいえ、地方企業が AI を導入するのは簡単じゃないですよね。実際のハードルは?

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片山 能一

おっしゃる通りで、ここを正直に話さないと信用されないと思っています。地方企業の AI 導入には、4 つの現実的なハードルがあります。

ハードル 1: IT リテラシーの壁

地方企業の従業員の平均年齢は都市部より高い傾向があります。最近でこそ ChatGPT という名前を知っている人も増えてきましたが、「名前は聞いたことはあるけれど、実際に使ったことはない」というレベルから始める会社もまだ少なくありません。

乗り越え方: いきなり全員に使わせようとしない。まず 1 人、一番興味のある人(年齢は関係ない)に「議事録の要約」など、成果が見えやすいタスクで試してもらう。目で見てわかる成功体験が広がれば、自然と周りも「自分もやってみたい」となる。

ハードル 2: 「うちには関係ない」という心理

もったいないのが、製造業、建設業、農業——「うちは現場仕事だから AI は関係ない」と思い込んでいる経営者が非常に多いことです。

乗り越え方: 現場仕事そのものを AI 化する必要はない。見積書の作成、日報の整理、安全書類の記入、取引先への報告——どんな業種にも「デスクワーク」は存在する。そこから始める。「現場の仕事は変えない。事務仕事を AI で半分にして、現場に集中する時間を増やす」と伝えれば、抵抗感はグッと下がります。

ハードル 3: 無理な一斉導入

「やるなら一気に」と全社・全業務へ同時に展開してしまい、現場が混乱したりうまく利用しないまま放置して頓挫するケース。意外とある失敗パターンです。

乗り越え方: 無理に導入しないことが何より大事です。一度にすべての部署や業務へ広げようとしない。まずは 1 部署・1 業務に絞って試し、効果が見えてから横に広げる。「今は使わない」という選択も残しておくと、押し付けにならず、かえって自発的に使う人が増えていきます。

ハードル 4: ルールと仕組みの不在

「とりあえず ChatGPT を使ってみよう」で始めたものの、利用ルールも運用の仕組みも考えないまま放置され、情報漏洩のリスクや、使う人・使わない人のばらつきが生まれるケース。

乗り越え方: 導入と同時に、最低限のルール設計と運用の仕組みを考えておく。「機密情報や個人情報は入力しない」「使ってよいツールを決める」といった簡単なガイドラインと、「誰が推進・管理するのか」の担当を決めるだけで十分です。最初から完璧な規程は不要。小さく始めながら、必要に応じてルールを育てていけば問題ありません。

どのハードルにも共通して言えるのは、「小さく始めて、成功体験を積む」ことが最も確実な突破口だということです。一気にデジタル化しようとすると必ず失敗する。1 つの業務、1 人の担当者から始める。これが鉄則です。

公的支援の活用法

—— デジタル化・AI導入補助金・ものづくり補助金・自治体DX支援の申請と活用術

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

補助金や支援制度は活用できますか?

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片山 能一

これは絶対に活用すべきです。国も自治体も、中小企業の DX・AI 活用を本気で推進しています。使えるものは全部使いましょう。

主な補助金・支援制度を整理します。

1. デジタル化・AI 導入補助金(旧:IT 導入補助金)

  • 対象: 中小企業・小規模事業者の IT ツール導入(AI ツールを含む)
  • 補助額: 通常枠で最大 450 万円(補助率 1/2〜4/5、枠・規模により変動)
  • ポイント: 2026 年度から「IT 導入補助金」より名称変更。AI を含む IT ツール(生成 AI 活用ツール、チャットボット、RPA、AI-OCR のほか、会計・販売管理・CRM・ERP 等)の導入を幅広く支援する制度で、AI だけが対象というわけではない
  • 注意: 対象ツールは事前に「IT 導入支援事業者」に登録されている必要あり。申請には「GビズID プライム」の取得と「SECURITY ACTION」の自己宣言が必須

2. ものづくり補助金

  • 対象: 革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善
  • 補助額: 最大数千万円規模(類型により異なる)
  • ポイント: AI を活用した新サービス・システム開発も対象
  • 補足: 近年は「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」などに枠が再編されている。AI システム開発は、革新的な新サービス開発・DX 投資として申請する形になる

3. 小規模事業者持続化補助金

  • 対象: 販路開拓に関する取り組み(AI そのものの導入を目的とする補助金ではない点に注意)
  • AI を活用したホームページ制作、AI チャットボット付き EC サイト、AI マーケティングツール導入なども、販路開拓の手段として採択事例がある

4. 自治体独自の DX 支援

  • 多くの都道府県・市区町村が独自の DX 支援補助金やコンサルティングを提供
  • 例: 地域の「DX 推進センター」「よろず支援拠点」でまず相談
  • 自治体ごとに内容が大きく異なり、毎年見直されることも多いので、地元の商工会議所に問い合わせるのが確実

申請書類の作成に AI を使う

ここが面白いところなんですが、補助金の申請書類のドラフト自体を AI で作れるんです。事業計画書の骨子、市場分析、導入効果の試算——AI に「補助金の申請書に必要な事業計画書のドラフトを作って」と指示すれば、たたき台が数分で出てきます。

ただし、最終的な申請書は必ず専門家(中小企業診断士、税理士、行政書士など)に確認してもらってください。AI のドラフトをベースにプロが仕上げる——これが最もコスパの良い方法です。

もう 1 つ大事なこと。補助金は「もらって終わり」じゃなく、導入後の成果報告が求められます。AI ツールを入れたらどれだけ生産性が上がったか、数値で記録しておく習慣をつけましょう。これは次の補助金申請時にも強力なエビデンスになります。

地方の逆転戦略

—— 固定費優位性×AI投資で都市部企業を逆転するROI構造

VQ編集部
VQ編集部 インタビュアー

最後に、地方の経営者へメッセージをお願いします。

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片山 能一

僕が一番伝えたいのは、「地方にいることは、もうハンデじゃない」ということです。

さっきも少し話しましたけど、僕は父が地方で会社を経営している姿をずっと見てきました。人が足りなくても自分が穴を埋めて、情報が遅くても勘と経験で判断して、外注が高くても交渉して何とかしていた。本当にすごいと思っています。でも父の時代には AI がなかった。今の地方の経営者には、それがある。これは僕にとってすごく個人的なテーマなんです。

少し前まで、地方の経営者は不利な戦いを強いられていました。人が採れない、情報が遅い、外注が高い。同じ努力をしても、東京の会社に構造的に負けてしまう。

でも、AI はこの構造を根本から変えました。

人が採れなくても、AI が 1 人 1 人の能力を何倍にもしてくれる。情報が遅れていても、AI がリアルタイムで最新情報を届けてくれる。外注が高くても、AI × 内製で同じ品質を 1/3 のコストで実現できる。

そして気づいてほしいのは、地方の方が AI 投資の ROI が高いという事実です。

東京でオフィスを借りたら月数十万〜数百万円。地方なら数万円。東京でエンジニアを 1 人雇ったら年収 600〜800 万円。地方の人件費水準は違う。この固定費の差がある分、同じ AI ツールに月数万円を投資しても、利益への影響が全然違う。

固定費が低い地方企業にとって、AI は「コストの差を埋めるツール」ではなく、「利益率の差を広げるツール」なんです。

確実なことは、これからの 5 年で、AI を使いこなす地方企業と、使わない地方企業の間に、取り返しのつかない差がつく。

最初の一歩は本当に小さくてもよいので、ChatGPT に「今日の会議の議事録をまとめて」と頼んでみる。それだけでよいので、まずは行動を推奨します。

「自分には無理だ」と思っている経営者の方へ。あなたが今まで人手不足の中で、知恵と根性で会社を回してきたこと——その経験と判断力こそ、AI と組み合わせたとき最も大きな価値を発揮します。

AI は、頑張っている人をさらに強くする道具です。そして地方で頑張っている経営者ほど、その恩恵は大きい。

ぜひ今日から、最初の一歩を踏み出してみてください。

地方企業のAI導入で失敗しないために


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代表取締役

片山 能一さん

株式会社バーチャルアーツ代表取締役。AIを中心とした経営改善・業務効率化・DX支援に尽力している。AIを単なる自動化や労働代替の手段としてではなく、人の創造性や意思決定の可能性を広げ、組織の意思決定と挑戦の質を高める存在として捉え、戦略設計からシステム実装、運用定着まで一貫して支援。

また、AIやテクノロジーの進化によりあらゆる情報が瞬時に複製され、流通する時代だからこそ、空間・人・時間・体験といった複製コストの高いフィジカルな価値も重要視している。IT・AI領域での事業展開と並行して、プライベートサウナバーの運営など、リアルな場づくりにも取り組んでいる。

AIか人か、デジタルかフィジカルかという二項対立に留めず、両者が自然につながる社会の実装を目指し、経営・テクノロジー・体験価値の視点から情報を発信している。